きょうのひとり飲み会

太く短くふわふわと

お菓子を食べて高年収の話

たまに海外のニュースを紹介する記事で
「お菓子の味の仕事で年収がこんなに!」
みたいなのありますよね。
あー、まあ、確かに高いですね。国が違うからか。わからないけど。







毎度毎度、記事の内容から察するに開発っぽいよな。
開発は自作の評価や他社商品の研究なんかが目的ではないでしょうか。
ていうかメディアの情報で食品会社の仕事って開発と製造しかやらないよね。

品質管理の部門も食べまくります。
食べまくるのは非正規のことが多いけど。
正確な舌を持っていれば良いので雇用形態はあまり関係ないかと個人的には思う。
品質管理部の目的は「出荷できるかどうか」です。
従って正社員が食うとしたらトラブルがあったときのことが多い。
正社員が常日頃から食いまくってる会社もあるけど。
そこは会社による。

この手の記事には1日に何十種類も食べる、と書かれているけど私の経験した件数より若干多いくらい。
中規模なコンビニベンダー系工場だったら1日に50検体くらいは食べるよねえ。
食べると言っているけど正確には味を確認したら口から出している。
普通に食べてもいいけどそのうち嫌になる。
このへんまでは一般の人に説明していて受けもいい。
嫌いなものでももちろん拒否はできない。拒否した人を(あまり)見たことがない。
一般の人にこれを言うと「うへえ」という反応しかない。
私は仕事だったら出荷できるかどうかがすべてなので何でも食える。ただ、これもまったくわからない考え方と言われる。
アレルギーがあったらこの仕事はもちろんできません。
製造工程で不良があったら最初に確認することになる。
材料がよく混ざってないまま包装した、味を決める材料を間違えた、殺菌時間を間違えた*1など。
これも会社によるけど、勤務時間中に喫煙はできないしコーヒーを禁止していたりする。
無味無臭の製品だと、勤務時間中は味のあるもの禁止、とか。
味覚の訓練もやる。
よくあるのは5つか6つのカップが出てきてどれがどの味か識別するというもの。
なんでその数かというと基本の味が5つ((甘み、苦味、塩味、酸味、旨味(味の素)))だからです。
これに水を加えると6つ。
不良品を識別できるかのテストなんかもある。
これは意図的に劣化させたとか、臭いを発する異物混入を想定したもの。


ところで、開発が商品化できるのは自社の設備と予算に合うものしかない。
いくら開発の作る茶碗蒸しが旨くても、米飯の装置しかなかったら当たり前だけど製品化はできない。
そして開発同士の
「この香料入れると味が全然違うんですね」
「値段が合わないからだめ」
という会話は聞き飽きた。 
設計通りに製造できているかということと美味しいと感じるかどうかは別の話です。
まあおいしいっていう表現だと個人の主観だよね………。
「万人受けするのはAだけど!俺の好みはBかC!!」
ということだってありますよ。
開発が試作したものは食わせてくれることもあります。
他の品管部員は
「AはコクがあるけどBは………」
など冷静に分析してますが私は
「AもBももう少し塩があったら嬉しい」
としか言わん。完全に主観で突っ走ってます。
私にとって塩は正義。





品質管理の味の検査は(官能検査っていいます)図日記カテゴリーのどこかにあるので気になる方はそちらも併せてどうぞ。
スマホから編集してるかリンク貼れない………。

どのみち、あんまり楽しくないよ。

*1:菌数に影響するのはもちろんですが、加熱している場合は硬さに影響が出る