言い出しっぺは母だった。
だいぶ前に実家のキッチンの魚焼きの装置がぶっ壊れた。
システムキッチンなのでそこだけを修理できない。
コンロは無事なので、食洗機もぶっ壊れているけど全体を修理する気はなさそう。
普段魚は切り身を食べているので小さなオーブンレンジで焼いているのだが、さんまは切らないと入らない。
一匹丸ごと食べたいみたい。
母はまず弟に
「七輪的なもの買ってきて」
と言うのだった。
弟は自分がホームセンターに用があったのでついでに買ってきてくれた。
丸い七輪ではないけど、角形七輪と箱に書いてある。
日曜の夕方。日没の時間帯。
弟が火を起こす。
なかなか火が安定しない。
そのうち焼く役目は母になった。
それにしても、火力の加減がよくわからない。
落ち着いたと思ってさんまを焼き始めたのはいいんだが、網の下へ脂肪がぼとぼと落ちるのか火力は増すばかり。
それでいてなかなか中まで火が入ってくれない。
さんまの皮は炭のように焼けた。
私はもういいやと思ったが、母はひとりで反省会を開いている。
「1回やってみてだいたいわかった」
とも言っている。
七輪は弟がソロキャンプに持っていきたいと言っているのでまだまだ活用できそう。